撚糸はどうやるの?

このページは撚糸加工について、一般の方を対象に、わかりやすくご説明したものです

産業としての撚糸加工には、合撚(Twisted Yarn)、カバーリング(Covered Yarn)、及び、
嵩高加工(Bulky Yarn)が含まれますが、嵩高加工についてはあまり触れていません。

撚糸はどうやるの?動画編:当社で稼働している撚糸機の様子です
撚糸の品質基準について:クレーム実例でご説明しています



■ 単糸とは

紡績メーカー・合維メーカーから供給されている糸は通常、1本のままの「単糸」です。単糸はステープル(短繊維)とフィラメントの2種類あります。

綿や麻、羊毛などの天然繊維は短繊維で、それを紡績して単糸にします。化学繊維はナイロンなどの化学物質を極細の穴から連続して引き延ばして単糸を作ります。そのままフィラメント糸として使うこともありますし、短くカット(短繊維に)してから紡績して単糸にする場合もあります。

■ 撚糸製造加工メーカーの役割

日常よく目にする繊維製品(ミシン糸、ロープ、衣料品、絨毯、タオル、シートベルトなど)は単糸のままでは作れません。複数の単糸を組み合わせて太い糸を作り、それを織ったり、編んだりして作ります。

当社のような撚糸製造加工メーカーの役割は、川上の繊維メーカーと川下の最終繊維製品(織物など)メーカーの中間にあって、繊維メーカーから供給されている単糸を複数本組み合わせて「撚糸加工」し、最終製品(非衣料品を含む)の用途に適した糸を作ることです。

3本のフィラメント単糸を撚糸(合撚)した糸
▲短繊維(綿)単糸  ▲フィラメント単糸  ▲嵩高加工単糸●●

■ 撚糸の方法

用途に適した太い糸は単糸を複数本組み合わせて作ります。その製造方法として代表的なものに、合撚加工、カバーリング加工があります。

出来た糸をそれぞれ合撚糸(twisted yarn)、カバーリング糸(covered yarn)と呼びます。

撚糸加工には、このほかに嵩高加工(Bulky Yarn)も含まれますが、
以下では、合撚糸とカバーリング糸についてご説明いたします。

撚糸機の例。当社のカバーリングマシン(Yarn Covering Machine)

  
▲撚りの種類●●●●▲Z撚り単糸2本をS撚りした糸
■ 合撚(諸撚り)糸

撚糸とは、糸に撚り(より)をかけること、または撚りをかけた糸のことです。糸は撚りを加えると強度を増し、風合がよくなるなど、性能が向上するため、ほとんどが加撚(かねん)されます。(撚糸の目的)

撚りの基本:糸に撚りをかけるのは一方方向に並べた繊維を固定するためです。撚る方向によってS撚り(右撚り)とZ撚り(左撚り)があり、撚り回数のバランスは風合いに影響します。

太い糸を作るためには、単糸を何本も撚り合わせます。撚り合わの基本は「諸撚り」です。諸撚りを繰り返すことで太い糸が作れます。

諸撚り:2本またはそれ以上の糸をそれぞれ1本ずつ同一方向に撚り、次にこれらを合わせて逆の方向に撚ります。諸撚りすることで糸のトルクが安定します。

  
▲シングルカバーリングヤーン▲ダブルカバーリングヤーン
  ■ カバーリング糸

SCY(シングルカバーリングヤーン)
芯糸(ポリウレタン弾性糸など)を延伸したところに、鞘糸(ナイロン糸など)を、S方向またはZ方向に一重に巻きつけた糸です。

DCY(ダブルカバーリングヤーン)
芯糸(ポリウレタン弾性糸など)を延伸したところに、鞘糸(ナイロン糸等)をS方向とZ方向に二重に巻きつけた糸です。

カバーリング糸はパンティストッキングなどによく使われています。


  撚糸はどうやるの? 動画編(撚糸機) 


当社で運転中の合撚機(撚糸機)

2~6本の太さの異なる単糸を合撚できます。

この動画では、機械上部にあるボビンから繰りだした単糸3本をガイドで揃えて、リング内部で高速に回転するトラベラーが3本の糸を合撚しながら、下ボビンに巻きつけています。



当社で運転中のカバーリング機(撚糸機)

ストロボ撮影してますので、シングルカバーリングの様子がわかります。

機械下部のボビンから芯糸を繰り出し、鞘糸ボビンの中心から引き出します。芯糸に鞘糸ボビンが回転しながら鞘糸を巻きつけます。カバーリング糸は機械上部のボビンに巻きとられます。




 撚糸の品質基準について (クレーム実例) 
■ 撚糸の品質基準について

撚糸の品質基準について、わかりやすい例でご説明します。
この例は私たち繊維業界では代表的な不良例なのですが、
他の業界の皆さまにご理解いただければとご紹介いたします。


撚糸加工段階で品質管理の悪い不良品(不良糸)を出荷すると、
後工程の織加工で不良糸のため織り機が停止して稼働率をさげたり、
最悪、織物として売り物にならない仕上がりになってしまいます。


では、具体的にどのような状態が不良糸なのでしょうか?
撚糸屋としてあってはならない合成繊維糸の不良加工。
その代表例「フィラメント切れ(ケバ)」をご紹介します。

■ フィラメント切れ(毛羽:ケバ)のある糸(クレーム品)

左上画像:合繊メーカーから供給される合成繊維(単糸:PP84T-24F)を2本合撚加工した糸の顕微鏡画像です。単糸は極細フィラメントの集まり(この場合は24本)であることがわかります。

左中画像:合撚した糸は紙管に巻かれた状態で出荷され、後工程(この場合は織加工)に利用されます。

左下画像:紙管に巻かれた糸の黄四角部分を接写した画像です。
よくみると、巻糸からひげのような細い糸が飛び出しています(黄色丸内)

これは合撚加工する際に起きた「フィラメント切れ」、業界用語では「毛羽(ケバ)」です。原糸(単糸)を構成している多数のフィラメントの中の1本が切れると、このようになります。表周の糸に一か所でも見つかれば、何メートルかの度に、「フィラメント切れ」が必ず起きています。不良ロットです。
■ 「フィラメント切れ」の原因

フィラメント切れの糸が供給された原因については以下が考えられます。

① 撚糸機を原糸(単糸)の特性に合わせて調整することなく使っている。この例の場合、原糸はPPです。PPの強伸度はナイロン系に比べ低いです。そのため速く巻き取るとフィラメント切れをおこし易いので、低速度で機械を運転することが望ましいです(加工時間が長くなるためコストは上がります)

② 原糸の特性に合わせて糸道を整備・調整してないため、糸に傷がつきやすくなっている。

③ たとえ撚糸加工の段階でフィラメント切れが起きていても、出荷前に目視による検品を行っていれば、不良品が工場外に出荷されることはまずありえません。(全数検査・検品していない?)


今回の例は、当社にご相談のありましたN社様に納入されている糸です。以前ならこういう品質の悪い撚糸を客先に納入することなど常識では考えられなかったことです。Made in Japanの信頼性をそこなう現状は、同業者として誠に悲しいことです。

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